八重歯の原因
糸切り歯と言われる犬歯が歯の列からはみ出している八重歯は、叢生の1種です。突き出ていたり、他の歯に重なっており、遺伝的要因が大きいとされています。歯と顎の大きさのアンバランスや、乳歯が遅くまで抜けず永久歯が生えてくるタイミングとあわなかったことなどが原因で起こります。
八重歯のリスク
愛嬌があってかわいらしいイメージがある八重歯ですが、欧米では悪魔や吸血鬼の歯と言われているためイメージが悪く、最近では日本でも矯正される方が増えてきています。
手入れがしにくいため、虫歯や歯周病、口臭リスクがあるだけでなく、とがった犬歯が飛び出ているため、口内を傷つけてしまったり、口元のけががひどくなりやすくなってしまいます。
八重歯の矯正のタイミング
できれば子どものうちに矯正治療を受けることが望ましく、成長後でも早めに治療を受ければ治療期間も短くできます。状態によって変わりますが、部分矯正が可能な場合もありますし、舌側矯正や透明なマウスピースによる矯正、目立たない矯正なども可能です。
また、八重歯の抜歯は基本的に、できる限り避けるべきと言われています。八重歯になりやすい犬歯は、咬み合わせにおいて非常に重要な役目を果たすためです。抜歯を回避した矯正治療で、正しい歯並びへと改善するのが理想です。
八重歯治療には抜歯が必要？
ただし、八重歯を抜歯した方がいいというケースもあります。主に、以下のようなケースです。
- 抜歯なしでは全体の歯並びを改善することが難しい
- 抜歯なしで矯正治療を行っても、後戻りの可能性が高い
- 八重歯がすでに虫歯になっている、歯周病の原因になっている
非抜歯のメリット、抜歯した場合のメリットを患者様ごとに比較しながら、治療法を選択します。
治療
部分矯正
ワイヤー矯正
ブラケットとワイヤーを、八重歯を含めた数本の歯に取り付け、それぞれの歯を正しい位置へと動かします。
白色・透明の審美ブラケットを使用することで、装置を目立ちにくくすることも可能です。
マウスピース型矯正装置
（インビザライン）
マウスピース型矯正装置（インビザライン）は、部分矯正も可能です。全体矯正よりも治療期間が短くなるため、費用も抑えられます。
透明のマウスピースを1～2週間ごとに交換していきます。
全体矯正
ワイヤー矯正
表側矯正
ブラケットとワイヤーを、歯の表側に取り付け、八重歯を含めたすべての歯を正しい位置へと戻るように力をかけます。
舌側矯正
ブラケットとワイヤーを歯の舌側に取り付け、すべての歯を正しい位置へと動かします。
八重歯の位置によっては、適応とならないこともあります。
子供矯正
顎の小ささが原因になっていることもあるため、その顎の発達を促す取り外し式の装置を使用します。
また、口呼吸や指しゃぶりなどの癖がある場合には、お口周りの筋肉を鍛えるトレーニングが有効です。
八重歯についてQ&A
八重歯とは、どのような状態なのでしょうか？
ある歯が、歯列から大きく飛び出して生えている状態を八重歯といいます。分類としては、叢生の一種となります。
八重歯になりやすいのは、前歯から数えて3本目の「犬歯」です。他の歯より遅い時期に生えてくるため、歯列からはじき出されることが多くなります。
八重歯をそのままにしておくと、よくないのでしょうか？
以前はチャームポイントの一つとして八重歯が挙げられるほどでしたが、歯並びの乱れの一種ですので、口腔への悪影響が懸念されます。
まず、正しく噛むことができません。八重歯の位置によっては、歯として全く機能していないこともあります。また、他の歯との隙間、歯茎との隙間には汚れが溜まりやすく、虫歯・歯周病リスクが高まります。
八重歯は、ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも治せますか？
はい、どちらの方法でも、治療が可能です。
また、部分矯正の適応となることもあり、その場合は治療期間が短くなり、費用も抑えられます。
八重歯があるだけで、他の歯はきれいに並んでいます。抜歯だけで治療は終わりますか？
八重歯だけとはいえ、歯を失うことは、咀嚼力の低下を招きます。特に八重歯になりやすい犬歯は、咬み合わせにおいて重要な役割を果たしています。そのため、できる限り抜歯を回避しながら矯正治療を行い、本来の歯並び・咬み合わせを取り戻すのが理想です。
犬歯は前歯の中でも生える時期が遅いため、先に生えた歯がスペースを使ってしまうと行き場がなくなり、歯列の外側に飛び出して生えやすくなります。
顎の大きさや歯の大きさは遺伝の影響を受けやすく、家族に八重歯の方がいると、お子様にも同じ傾向が出ることがあります。
八重歯は遺伝しますか？
顎の大きさや歯の大きさは遺伝の影響を受けやすく、家族に八重歯の方がいると、お子様にも同じ傾向が出ることがあります。
八重歯の原因にはどんなものがありますか？
顎が小さい、歯が大きい、乳歯の早期喪失や逆に乳歯が長く残る、指しゃぶり、舌癖、口呼吸などが関係します。
八重歯は自然に治りますか？
永久歯がすべて生えた後に自然に整うことはほぼありません。放置すると叢生が進行しやすく、早めの相談がおすすめです。
八重歯は見た目以外にどんな問題がありますか？
清掃不良によるむし歯や歯周病、口内炎、噛み合わせの悪化、顎関節症など、さまざまなトラブルにつながることがあります。
八重歯があると口が閉じにくいのはなぜですか？
歯列の外側に歯が飛び出すことで唇の動きが妨げられ、口を閉じにくくなることがあるためです。
前歯だけが重なっている軽度の八重歯も治療できますか？
はい、軽度であれば部分矯正が適応となることもあり、短期間で整えることが可能です。
大人になってからでも八重歯は治せますか？
可能です。成長が止まっていても、矯正治療によって歯列を整えることができます。
子どもの八重歯は何歳頃に相談すべきですか？
犬歯が生え始める10～12歳頃にスペース不足がわかることが多いため、小学生のうちに一度相談すると安心です。
八重歯は発音に影響しますか？
歯の位置が不整だと、舌や唇の動きが制限され、「サ行」などが発音しにくくなることがあります。
顎が小さいことが原因といわれましたが、治療方法はありますか？
上顎の幅を広げる装置や、歯列のアーチを整える方法があり、スペース不足を改善して犬歯が収まるように治療することができます。
八重歯の治療期間はどれくらいですか？
八重歯の程度や治療方法によって異なりますが、部分矯正で半年～1年、全体矯正では1年半～2年程度が一般的です。
八重歯の治療に抜歯が必要なことはありますか？
重度の叢生では抜歯が必要な場合もあります。ただし犬歯は機能的に重要な歯のため、できる限り温存する治療計画を検討します。
八重歯の矯正中に痛みはありますか？
装置の調整直後に押されるような痛みが出ることがありますが、数日で自然に軽減することがほとんどです。
マウスピース矯正とワイヤー矯正、どちらが向いていますか？
軽度〜中等度の八重歯ならどちらも可能ですが、歯の移動量が大きいケースではワイヤー矯正が向いている場合もあります。
八重歯があたって頬が傷つくのですが、治療したほうがいいですか？
八重歯が頬の粘膜に当たりやすく、口内炎を繰り返すことがあります。健康面からも治療して整えることが望ましい状態です。
八重歯を治すと横顔は変わりますか？
歯列が整うことで口元がスッキリし、横顔のバランスが整うことがあります。
治療後に後戻りすることはありますか？
あります。八重歯は元の位置に戻りやすいため、治療後にリテーナー（保定装置）をしっかり使うことが重要です。
八重歯の治療は保険適用になりますか？
多くの場合、自費診療になります。ただし、顎変形症など特定の症状がある場合には保険適用となるケースもあります。
八重歯は予防できますか？
乳歯のむし歯を放置しない、早期に歯列不正をチェックする、口呼吸や指しゃぶりなどを改善することで、将来的な叢生のリスクを減らすことができます。
