受け口(反対咬合)の矯正

受け口とは

下顎の前歯が上顎の前歯よりも前にある状態です。上下の前歯が前後反対になっています。下顎が成長し過ぎたり、上顎の成長が足りなかったり、下顎の前歯が前に傾斜して生えてしまっているなどが原因で起こります。

原因

遺伝の影響が大きいと言われています。また、顎の成長過程での口呼吸・指しゃぶり・舌で歯を押す癖なども、受け口の原因になると言われています。

受け口が身体へ悪い影響を及ぼす!?

  • 見た目のコンプレックス
  • 発音への支障(特にサ行、タ行)
  • 咀嚼能力の不十分、及び消化不良
  • 奥歯への負担の増加
  • 咬み合わせの乱れによる顎関節症のリスク上昇

受け口の矯正ポイント

顎の成長が原因に大きく関わっている場合が多いので、お子さまの受け口は早めにご相談ください。成長期には顎の成長をコントロールして適切な大きさに促す治療が可能です。
大人の場合は、軽度であれば通常の矯正治療で治すことができます。重度の場合には、外科矯正を受けることで、突出感が解消し、横顔もきれいなラインを実現できます。

受け口の将来的なリスク

見た目の影響だけでなく、食事の際の噛みにくさや、発音への悪影響などがあります。噛みにくいことから苦手な食べ物が増えたり、固いものをうまく食べられないなどで顎や歯の健全な成長を妨げる可能性があり、消化にも負担をかけます。また、発音が不明瞭になることで、引っ込み思案になるケースもあります。

治療

小児の場合

小児の場合

早くから受け口が見られ、骨格に問題がある場合には、1期治療を4歳頃から始めることが望ましいと言えます。顎の成長をコントロールすることで、受け口を改善します。11・12歳頃から、引き続き2期治療を行うこともあります。
小児矯正では、拡大床、クワドヘリックス、バイトプレート、上顎前方牽引装置、タングクリブ、ヘッドギアなど、特殊な装置を使用します。

成人の場合

成人の場合

マウスピース矯正、表側矯正、舌側矯正での治療が可能です。

マウスピース型矯正装置
(インビザライン)

透明のマウスピースを1~2週間ごとに交換し、歯を動かしていきます。
ただし、重度の受け口、骨格に問題がある受け口の場合は、ワイヤー矯正、あるいはワイヤー矯正との併用をおすすめすることがあります。

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ワイヤー矯正
表側矯正

ブラケットとワイヤーを歯の表側に取り付け、歯を動かしていきます。
ほとんどの受け口に対応しますが、骨格に大きな問題がある場合には、外科的な手術が必要になることもあります。

舌側矯正

ブラケットとワイヤーを、歯の舌側に取り付けて歯を動かします。
装置が目立たず、また歯の舌側で常に唾液に触れているため、虫歯になりにくいと言えます。限られた歯科医院でのみ行われる方法です。

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受け口のQ&A

受け口とは、どんな状態でしょうか?

下の前歯が、上の前歯よりも前方に出ている状態です。下顎前突、反対咬合とも呼ばれます。
単に歯の位置や傾きが不正で起こる「歯槽性受け口」と、骨格の問題によって起こる「骨格性受け口」があります。

受け口は、なぜ早めに治療しないといけないのでしょうか?

数ある歯並びの乱れの中でも、受け口は、骨格の問題(下顎が前方にズレている等)によって生じているケースが多くなります。その場合、歯を動かすだけでなく、顎の位置を正す骨格矯正が必要になります。骨格矯正は、顎がまた成長している段階で行うことで、より良い効果が期待できるため、早期の治療開始が望ましいと言われています。

手術が必要になることもあるとききました。本当でしょうか?

成人の方は、顎の成長が完了しているため、装置を使った矯正治療だけでは大幅な受け口の改善が難しいことがあります。
そういった場合には、下顎の骨を切り、後方へとスライドさせる「下顎骨切り術(セットバック法)」がとられることがあります。

受け口の原因にはどんなものがありますか?

原因はさまざまで、遺伝的な骨格の特徴、下顎の過成長、上顎の成長不足、前歯の傾斜、舌の癖、口呼吸などが関係します。

受け口は遺伝しますか?

骨格の特徴は遺伝しやすいため、ご家族に受け口の方がいると、お子様にも同じ傾向が現れることがあります。

受け口を放置するとどうなりますか?

噛みにくさや発音の不明瞭さ、奥歯への負担、歯のすり減り、顎関節の不調など、日常生活にさまざまな支障が出ることがあります。

子どもの受け口は自然に治りますか?

一部の軽度のケースでは自然に改善することもありますが、骨格性の受け口は放置しても治らないことが多く、早めの診断が重要です。

何歳から受け口の治療は始められますか?

お子様の顎の成長を利用する治療は、早ければ6~7歳から可能です。ただし、年齢に応じて方法が異なるため、早期相談がおすすめです。

子どものうちに治療した方が良いのはなぜですか?

成長期は骨格のコントロールがしやすく、後々大がかりな治療や手術を避けられる可能性が高まるためです。

成人でも受け口は治せますか?

はい、治療可能です。成人は顎の成長が止まっているため、歯を動かす矯正が中心となります。重度の場合は手術との併用が必要になることもあります。

受け口だと発音に影響がありますか?

舌の位置が不自然になり、「さ行」「た行」「な行」などの発音が不明瞭になることがあり、矯正で改善が期待できます。

前歯だけが受け口の場合でも治療が必要ですか?

歯槽性の受け口の場合、前歯の角度だけを整える治療で改善することが多く、比較的短期間での矯正が行えます。

マウスピース矯正でも受け口は治せますか?

軽度〜中等度の受け口であれば、マウスピース矯正で改善できることがあります。ただし、骨格性のズレが大きい場合は適応外になることがあります。

受け口の矯正治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

歯槽性の場合は1~2年程度が目安ですが、骨格性で成長期治療を行う場合は数年かけて段階的に行うことがあります。

受け口の治療で抜歯が必要になることはありますか?

歯並びや顎のバランスによっては抜歯が必要になる場合がありますが、非抜歯で治せるケースも少なくありません。精密検査のうえ判断します。

受け口は顔の見た目にも影響がありますか?

あります。下顎が前に出て見えることで、いわゆる“しゃくれ”に見えやすく、横顔のバランスが崩れます。治療により改善が期待できます。

食事のときに噛みにくいのは受け口が原因ですか?

前歯がうまく噛み合わないため、麺類を噛み切りにくい、食べ物をすくいづらいといった問題が起こりやすくなります。

顎関節症と受け口には関係がありますか?

噛み合わせが不安定なため、顎関節に負担がかかり、関節の痛み・音・開口障害などが起こる原因になることがあります。

舌のクセが受け口を悪化させることはありますか?

舌で下の歯を押すクセや、舌が前に出る癖は受け口を助長することがあります。必要に応じて舌のトレーニング(MFT)が必要です。

子どもの受け口は早期治療でどのくらい改善できますか?

上顎の成長促進・下顎の過成長抑制を目的とした装置を使うことで、骨格のバランスを大きく改善できることがあります。

手術を避けたい場合でも治療できますか?

骨格性のズレが軽度~中等度であれば、矯正治療のみで改善を図れる可能性があります。まずは精密検査で治療範囲を見極めます。

受け口の治療後、後戻りすることはありますか?

あります。特に骨格性の受け口は後戻りしやすいため、治療後の保定(リテーナー)がとても重要です。

受け口の治療は痛いですか?

矯正装置を装着した直後は違和感や軽い痛みを感じることがありますが、数日で慣れることが一般的です。強い痛みが続くことはまれです。

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