過蓋咬合の原因

上の前歯が、下の前歯が見えなくなるほど深く被さっている状態を、過蓋咬合と言います。主に、以下のような原因によって引き起こされる歯並びの乱れです。
- 上顎が大きい、下顎が小さい
- 奥歯の咬み合わせが良くない
- 虫歯や事故などにより乳歯を早くに失い、永久歯が倒れるように生えた
過蓋咬合は、時間の経過とともに症状が悪化することもあります。気になったときには、お早目に当院にご相談ください。
過蓋咬合のリスク
口元が出っ張って横顔の印象が悪くなるなどもありますが、手入れがしにくいためブラッシング不足になりやすく、虫歯や歯周病、口臭などのリスクが上がります。また、嚥下や発音に問題が生じやすく、咀嚼力が低下するため胃腸への負担をかけることになります。顎関節症や肩こり、頭痛などを起こす場合もよくあります。
過蓋咬合の矯正
お子さまの治療では、小学校入学前に経過観察を行い、癖などが影響していないかをきちんと調べて、それが原因であれば、そうした癖を修正していきます。
永久歯が生えはじめてからも過蓋咬合があれば、矯正治療を開始します。永久歯が生えそろう前に、顎の成長コントロールや、前歯の傾きを治していきます。
大人の場合には、いつでも矯正治療が可能です。過蓋咬合の程度や動かせるスペースなどにより抜歯が必要になる場合もありますが、インプラント矯正などでできるだけ抜歯をしない矯正方法も検討していきます。目立たない矯正や舌側矯正なども可能です。
治療
マウスピース型矯正装置
(インビザライン)
透明のマウスピースを1~2週間ごとに交換し、歯の傾きや位置を改善していきます。
装置が目立たず、治療期間も快適に過ごせます。
ワイヤー矯正
表側矯正
ブラケット、ワイヤーを歯の表側に取り付け、歯の傾きや位置を改善していきます。
子供矯正
取り外し式の装置、お口周りのトレーニングなどにより、顎の成長をコントロールすることで過蓋咬合を改善します。
顎の成長は、身長の伸びが止まるまで続くと言われています。過蓋咬合が気になった時点で、お早目にご相談くださいますようお願いします。
過蓋咬合(深い噛み合わせ)についてQ&A
過蓋咬合とはどのような状態ですか?
上の前歯が下の前歯を深く覆い隠してしまう噛み合わせのことで、前歯の見える範囲が極端に少なくなります。通常よりも垂直方向に深い噛み合わせです。
過蓋咬合の原因には何がありますか?
顎の成長バランスの問題、奥歯の高さ不足、遺伝的な骨格の特徴、指しゃぶりや舌の癖、歯ぎしり・食いしばりなどが原因になります。
過蓋咬合は遺伝しますか?
顎の形や骨格の特徴は遺伝しやすく、家族に過蓋咬合の方がいると似た噛み合わせが起こりやすくなります。
過蓋咬合を放置するとどんな問題がありますか?
下の前歯が上顎の歯ぐきに当たって傷ができたり、奥歯への負担が増えて歯の寿命が短くなることがあります。顎関節症の原因になることもあります。
過蓋咬合は発音に影響しますか?
歯と唇の位置関係が不自然になり、一部の音が発音しづらくなる場合があります。
過蓋咬合だと前歯がすり減りやすいのは本当ですか?
はい、前歯の重なりが深いため、上下の歯が強く当たり続け、摩耗しやすい傾向があります。
子どもの過蓋咬合は自然に治りますか?
軽度の場合は成長とともに改善することもありますが、骨格の影響が強い場合は自然に治らず、早期治療が必要です。
何歳頃から過蓋咬合の相談をしたらよいでしょうか?
永久歯が生え始める6〜7歳頃に相談すると、顎の成長を利用した改善が期待できます。
成人でも過蓋咬合は治療できますか?
はい、可能です。ただし成長が終わっているため、歯の位置や咬合の調整が中心となります。
過蓋咬合は顎関節症と関係がありますか?
噛み合わせの深さから顎関節に負担がかかり、顎の痛みや音、開口障害の原因になることがあります。
マウスピース矯正で過蓋咬合を治せますか?
軽度〜中等度の過蓋咬合ならマウスピース矯正が適応となる場合がありますが、深い噛み合わせではワイヤー矯正のほうが適していることもあります。
過蓋咬合の治療期間はどれくらいですか?
部分矯正で数ヶ月〜1年、全体矯正では1年半〜2年程度が一般的です。症例によって異なります。
部分矯正だけで過蓋咬合を治せますか?
軽度のケースであれば可能ですが、多くは奥歯の高さや顎のバランスも関与するため、全体矯正が必要になることが多いです。
過蓋咬合の治療で抜歯が必要になることはありますか?
必要になることもありますが、過蓋咬合は抜歯をせずに治療できるケースも多く、症例の状態を見て判断します。
過蓋咬合は前歯が見えにくくなる原因ですか?
はい、噛み合わせが深くなると下の前歯がほとんど見えなくなり、見た目に影響が出ることがあります。
前歯の過度な接触で歯ぐきが下がることがありますか?
あります。強い力が一点に集中することで、歯ぐきの退縮や知覚過敏を起こすことがあります。
過蓋咬合の治療に使う装置には何がありますか?
ワイヤー矯正、マウスピース矯正、奥歯を挙上する装置(バイトアップ)、子どもの場合は顎の成長を促す機能的矯正装置などがあります。
過蓋咬合は後戻りしやすいですか?
はい、噛み合わせの深い状態は習癖や筋肉の影響を受けやすく、治療後の保定(リテーナー)が特に重要です。
食いしばりや歯ぎしりは過蓋咬合を悪化させますか?
影響します。食いしばりによって前歯がさらに沈み込み、噛み合わせがより深くなることがあります。
過蓋咬合を予防する方法はありますか?
口呼吸を改善する、舌の正しい位置を保つ、指しゃぶり・爪噛みなどの習癖を早めにやめるなどが予防につながります。子どもの頃からの生活習慣が重要です。




